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2012年04月04日

岡崎市内の「歴史的景観」の維持のために:その3

愛知教育大学名誉教授(岡崎市文化財保護審議会会長)の新行紀一先生による「岡崎市内の「歴史的景観」の維持のために」と題したレポートを掲載します。

印刷は、こちらから
平成21年度に市の行政アドバイリー制度を活用して先生にご助言をいただいたものです。


3 関ヶ原合戦に勝利して「天下人」となった家康は田中吉政を転封し、譜代の本多康重を岡崎五万石の城主とした。こののち家康は大樹寺に手厚い保護を加えていった。慶長7年(1602)6月2日の朱印状で、鴨田村・大樹寺村で616石余の所領を寄附され、同日に五ヵ条の法式を下附された。翌8年(1603)2月に家康は征夷大将軍に任ぜられ、大樹寺は将軍家先祖の菩提所となった。同11年(1606)9月には後陽成天皇勅願所とされ、住持には常紫衣を許可された。いずれも家康の取り計らいである。

慶長16年(1611)3月、家康は太政大臣宣下の内命をうけたが辞退し、代わりに遠祖新田義重に鎮守府将軍、父広忠に大納言の贈官を奏請して認められた。これによって、それまで「瑞雲院殿道幹」であった広忠の法名は、「大樹寺殿贈亜相応政翰公大禅定門」と改定された。天文16年(1547)3月に6歳で別れた父親への想いが「大樹寺殿」にこめられているようである。翌年(1612)1月、吉良で鷹狩りをした家康は岡崎城で城主本多康紀と対面した。6月に家康は大樹寺に参詣し、祖先や一族の廟所を巡視した。碑石の苔を自身の爪ではがして見て歩き、法要を営んだという。時に家康71歳、最後の大樹寺参詣であった。

元和元年(1615)の大坂夏の陣で豊臣氏を滅ぼした家康は、翌年(1616)正月に体調を悪くし、4月17日に駿府城で没した。享年75歳。容態が悪化しつつあった4月2日頃、家康は側近に没後の処置について四ヵ条の命令を下した。遺体は久能山に葬ること、葬礼は浄土宗の江戸増上寺で行うこと、位牌は三河大樹寺に立てること、一周忌の後に下野国日光山に小堂を建てて勧請すれば関八州の鎮守となるべきこと、である。法名は「安国院殿一品大相国徳蓮社崇譽道和大居士」と定められた。遺言通りに大樹寺に位牌が立てられたであろうが詳細は伝わらない。翌年(1617)の一周忌は岡崎城主本多康紀以下西三河の大名が奉行となって営まれており、幕府は米三千俵・銭三千貫文を支出した。おそらく位牌が届けられて本堂等の修復がなされ、家康の遺命が実現したことであろう。大樹寺から遠望できる岡崎城天守閣の再建、大樹寺内の松平八代の墓所の整備も同年に行われている。

家康は何のために大樹寺に位牌を立てさせたのか。詳細は不明であるが、遺言四ヵ条の趣旨から考えると、家康の霊魂は等身大と伝える位牌に宿って父広忠の霊と一体となって故地岡崎を、ひいては徳川家を守ろうと考えたのではなかろうか。家康以後の歴代将軍の位牌の役割も同様といえよう。そう考えればビスタラインの発案者は家康ということになろうが、確言はできない。ただし、現存の家康位牌は当初のものではない。13回忌にあたる寛永5年(1628)、九男の尾張藩主徳川義直が、清康までの八代の位牌と共に寄進したものである。

家康の意志を受け継いだのは、三代将軍家光による寛永の大造営であった。寛永18年(1641)に完了した大造営の指図によれば、客殿とも称された本堂の北側中央の間に設けられた須弥壇に位牌が立てられ、南側の半蔀戸を開くと三門・総門を通して天守閣を遠望できる趣向であった。このビスタラインの趣向は、安政2年(1855)2月の火災後に本堂の建坪2割減になっても維持された。ビスタラインの眺望は明治6年(1873)の岡崎城解体まで約250年続いたのである。

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Posted by 岡崎市まちづくりデザイン課 at 08:30│Comments(0)景観学習
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