文学に見る風景②「人生劇場(その2)」
尾崎士郎の「人生劇場(青春篇)上巻」 (新潮文庫、1947年10月初版発行)の2回目です。同書の62頁に、「(三州岡崎は徳川家康の祖父の代からつづく城下町であるだけに、ながい伝統のふるめかしさが、町のすみずみまでにじみこんでいる) 矢作川が鉄橋の下からわかれて菅生川になる、水勢はやがて次第にゆるやかになって、その上にかかった殿橋がちょうど町の関門というかたちだ」、とあります。現在の殿橋は昭和2年に完成したもので、鉄筋コンクリート製の橋になっています。昔も今も市内中心部の南北交通の要となる橋の一つです(写真1)。
また、同じく62頁に、「――『五万石でも岡崎さまは』というかんじが今の岡崎に残っているかどうかは知らぬが、すくなくとも明治四十年代の岡崎は、もし春ならば――日ぐれがた、殿橋のたもとに立つと、城あとは桜がまっさかりで高くのびた老松の梢のかげになかば朽ちた天守閣の石垣が暮れかかる陽ざしをあびてそびえている。――水がみち、どろんと澄んだ川面を荷船がとおり筏がとおり、春は岡崎の町にぬるんで、ふるめかしさがわきたつようになるのだ」、とあります。
明治末から大正初年頃の雰囲気が偲ばれます。岡崎城は今では天守閣が復元されてますが、殿橋から見ると樹木の葉陰になるのは昔と変わりません(写真2)。
撮影日 平成23年9月10日
撮影場所 殿橋/
地図
投稿者 岡崎エクスプローラー
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